耕作放棄地を耕すべきか
これから離農者もどんどん出てきて、「耕作放棄地が増えてきた!」というニュースが出てくると思います。これって、考えようによっては捉え方が変わります。多くの人が想像しているのは、「大きい田んぼや畑」、実際は「中山間地域」の条件悪いところです。この中に、「棚田」があると思います。これこそが、日本の「原風景」という人もいます。
しかし、このような棚田たちは太平時代以降に新田開発の政治等の中で開発されたものです。士族の失業対策、政府の財政基盤の強化などの目的ですね。時代によって役割が全く違います。
本題です。僕の場合、結果から言うと、半々なんですよね。なぜなら、理由によるからです。耕作放棄が問題と言いますが、耕作が続けられないような悪条件な場所は、そもそも農業に向いていない場所を無理やり開発した土地だった、ということも珍しくないんです。耕すべきではない田んぼには、「耕さない勇気」を持つことが大事ですね!
例えば、ほんとにどうしようもない畑あるじゃないですか。三角形とかよくわからないくらい曲がってる田んぼとか。こーいうのは耕やさないべきだと感じます。一方、「条件」が良くて誰もやる人がいない場合でしたらやった方がいいと思います。
僕ら農業に従事してる人は、このように耕作放棄地をイメージしてると思いますが、多くの人が想像しているのは、「大きい田んぼや畑」なのではないかなと。
そもそも、なんで耕作放棄地が出てきたのか。高齢化でのリタイアが主な理由かなと。そして、儲からないのもありますね!たかだか数aの大きさやってても米では儲かりません。赤字が膨らむばかりです。そのような人たちは、先祖代々の土地だからやらねばいけないという使命感もあったかもしれません。しかし、この先祖代々というのはどの時代からを指しているのかわかりません笑
そして、これらって、平場ではなく中山間地域に増加傾向があります。何も不思議なことではありません。当然の結果だと僕は考えてます。コンパクトシティ化してきてるからですね!山の民たちが平場に降りてきてるんです。
そんな農地は、戦後の都市化で都市的利用への転用が進みます。どれぐらい転用されたかと言うと、「280万ha」くらいと言われています。現在の耕地面積約435万haの6割以上にも相当します。このような農地の利用転換がなかったと仮定すると、計算の上では最大で715万haの耕作地が存在していたはずです。その農地の8割は江戸時代以降、5割は明治以降に開発された新しい農地です。つまり、農地の半分は「意外と新しい」と言えるかもしれません。
僕は、水田が広がる様子を美しいと感じます。また、地域の美観としてそれを保存しても良いと思いますが、「農業生産」という観点からそれを守るべきという論には如何なものかなと。景観と生産は、わけて議論すべきだと僕は思います。その時代時代に、地域の様々な要請の中でつくられてきたものが多いです。ある時代に役割を果たしたからと言って、今の時代に存在意義があるとは限りません。
テクノロジー等の機械技術の発展に伴い平地での大規模生産が加速しています。効率化が良くなっています。また、日本での人口は右肩下がりで主食米の需要が縮小し続けています。しかし、世界の人口は増加中です。などと合わせて考えれば、「どの農地を守っていくか」という考え方にシフトできる可能性があります。1つ言えるのは、農業も仕事です。無償で食糧増産するボランティアではありません。農業法人にも「経営」という概念は存在します。
↑あ、僕の友達です笑
また、「農地を持っているが農業はしていない」という農家もたくさんいます。主に、都市化が進んでしまった農村地域ですね。もし、子供が地元に帰ってきたら家を建てる!誰かに宅地として売ればいい!という「出口戦略」を持っています。いざとなれば宅地に化ける権利もあります。それゆえに、農地が農業の生産手段として有効に利用されずに塩漬けになってしまいます。制度が後押ししてしまったわけですね。
なぜ、こんなことが起きるのか。農地法ですね!
農地法が農地の売買賃貸を制限しているのは、「耕作者が安定して農業を続ける権利」を保護するためです。しかし、結果としてこの制度が、農家が既得権として安いコストで農地を長期間保有可能です。都市的利用のために転用する際にはその利益を丸々享受することを可能にしています。逸脱ってやつです笑
やっぱり法律ってどこか抜け道があるんですね〜
ということで、「耕作放棄地」1つ取っても議論するべき課題がいっぱいあります。少子高齢化、担い手不足と負の連鎖があり、時代の転換期ですが、チャンスが転がっています。これを機に「法律」を作る「法案」することも可能になってくる場合もなきにしもあらずです。
楽しいですね!ネガティヴではなくポジティブに捉える。僕、筆者が「頭の中、お花畑」と言われる理由かもしれませんね笑
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